アクリル製品の出力色の調整についてのご案内
はじめに
アクリル素材への印刷は、紙印刷とは大きく異なる特性を持ちます。本記事では、弊社で使用している主要な印刷機の特性について説明いたします。
使用機械とその特徴
1. Indigo(デジタルオフセット印刷)
- 特性:イスラエル開発の印刷機です。オンデマンド印刷と同様の電子写真方式を採用しており、色味が他の印刷方式に比べ、安定しにくい傾向があります。青みや赤みが出やすいですが、極端に色が薄くなることはありません。
- 使用用途:非常に強い白色を印刷できるため、主にクリアファイルや白印刷が必要な用紙類などの印刷に用いています。
- 信頼性:再販時には色味が変わる可能性があります。但し、濃い白、オフセットライクな質感は唯一無二で、非常に魅力的です。
2. KM-1e(高精細インクジェット印刷)
- 特性:国内で開発された印刷機です。高画質なUVインクジェット方式を採用しており、再販時の色ずれがほとんどない点が強みです。
- 使用用途:紙製品の印刷のベース機として使用しています。
- 信頼性:ヘッド由来の筋等、インクジェット由来の弱点はありますが、色の安定性、画質の高さは最高峰です。
3. SwissQprint(orix,impala)
- 特性:スイスで開発された印刷機です。高精度なプリントヘッドを搭載し、圧倒的な画質を実現しています。新機種「Nyala」も導入予定です。
- 使用用途:アクリルへの印刷機として使用しています。
- 信頼性:他メーカーに比べて圧倒的な画質の高さ、インクジェット特有の、色転びの少なさが強みです。
アクリル印刷の特有の注意点
- 色味の飛びやすさ:アクリル印刷では、特に淡い色が飛びやすい傾向があります。その理由は以下の通りです:
- 遮蔽率の違い:紙は白い繊維の層が重なり合い、ほぼ完全な遮蔽を実現しますが、UVインクの白インクは100%の遮蔽ができません。そのため、淡い色を重ねた場合、色が薄く飛んだように見えることがあります。
- アクリルの透過性:透明なアクリル素材に印刷する際、色が沈んで見えることがあり、特に白の部分ではその傾向が強く、淡い色が飛んだように感じられることがあります。
RIPソフトウェアと色調整の改善
- RIPの変更による品質向上:従来使用していたSwissQprintには、専用の色変換アプリケーションがありませんでした。今回新たに、より高精度な色設定が可能なRIPソフトウェアへ移行し、相性の良い調整を行っています。
- 最終的な仕上がり:アクリル素材の透過率と白インクの遮蔽率を考慮し、従来よりもインク濃度を増加させ、KM-1での印刷に近い仕上がりを実現しました。特に白飛びを抑えることで、紙に刷った際との差異を小さく抑えています。
※色味が調整されるのは、2024年12月1日、日付変更時点の受注分からとなります。
結論
今回の変更により、アクリル製品でも安定した高品質な印刷が可能となりました。KM-1の再現性と高画質に近づけることで、お客様皆様のニーズにより的確に応えることができるようになりました。
お客様皆様のご発注をぜひお待ちしております。よろしくお願いいたします。